Improvised Music from Japan / Aki Onda / Information in Japanese

カセット・メモリーズ

Ancient & Modern』Cassette Memories Vol. 1, Phonomena Audio Arts & Multiples, 2003
Bon Voyage!』Cassette Memories Vol. 2, Improvised Music from Japan, 2003

パフォーマンス・シリーズ

カセット・メモリーズは、恩田晃がカセット・レコーダーで長年に渡って録り溜めてきたフィールド・レコーディングの音、いわばパーソナルな記憶の数々を、固有の記憶を有する場所で演奏する、<記憶を呼び覚すリチュアル>です。眼に見えずとも、その場に集まった独り独りのなかに確実に存在する、記憶たるもののエッセンスを浮かびあがらせるために、エレクトロアコースティクなサウンドスケープをつくりあげていきます。

カセット・メモリーズは、通常のコンサート・ホールではなく、長年に渡る固有の記憶の染みついた場所で、サイト・スペシフィク・パフォーマンスとして行われます。たとえば、古い建物、使われなくなった工場、ひとが行き交ってきた辻角、はては憩いの場である公園まで…、空間にただよう記憶の粒子を肌で感じ取れるような場所です。打ち捨てられたり、忘れ去られたりしている場所から、現在に至るまでひとびとの生活と連綿と関わりあってきた場所まで、歴史上の重要性とは無関係に、あくまで<記憶>を主眼に於いた直感的な判断によってロケーションは決定されます。

このパフォーマンスでは、古い真空管のギター・アンプを、通常のサウンド・システムのかわりに使用します。それによって、カセット特有のざらついたアナログな音色をいっそう引き立てることができます。身軽なセットアップであることから、その場所に溶け込む音響も可塑的につくりだすことができます。加えて、このパフォーマンスでは、ろうそくの灯りを、記憶を追憶する象徴として、通常のライティング・システムのかわりに使用します。ろうそくの光がおぼろげに照らしだす空間で、音と記憶の結ぼれを探っていくのです。

パフォーマンス・クロノグラフィー


Last updated: June 13, 2005