Improvised Music from Japan / Discography / Skiti

鈴木學 CD『Live Installation at Loop-Line Recorded by Toshiya Tsunoda
ライナー・ノート

天井から吊り下げられた5つの装置(USW56,USW57,USW59,USW61, USW113)は超音波発信器、受信器、増幅器それぞれを搭載している。各周波数はおおよそ40KHzであるが各装置ごとに少しだけずれている。また装置を揺らすと、ドップラー効果によっても周波数はずれる。超音波発信音と周波数が異なる受信音が引き起こすうなりを、この装置で聴くことができる。(鈴木學)

芸術作品はどこに現れるのだろうか? 人はどのように作品を鑑賞し、どのようにその体験を獲得するのだろうか?物理的に見れば作品は展示空間の中にあるといえる。しかし作品の本質が空間的な体験である場合、空間内に置かれた姿のみについて語るだけでは不完全である。私は鈴木の作品を鑑賞しながら、自分がそれを聴いているということを上書きしてみたくなった。そこで私は2本の超小型マイクを使う事にし、一本は会場の中央に設置、もう一本は私の左耳の中に入れて録音した。作品が起こす空間でのコンディションおよびユニットの揺れがほぼ安定したところで私はマイクの入っている耳を片手で閉じた。この録音行為によって私自身のコンディションが作品に加えられたと考える。(角田俊也)