Improvised Music from Japan / Yoshihide Otomo / Information in Japanese

大友良英のJAMJAM日記(2003年7月臨時増刊)

またまた1ヶ月のご無沙汰です。お元気ですか? ことしの東京は梅雨がなかなかあけなくて、夏好きの私としては、ちょいと物足りない7月です。

日記がほとんど配信されてないこの数ヶ月、webのスケジュールのほうも、たいして出ていないので、なにをふらふらしてるんだ…とお思いの方も多いでしょうが、コンサート以外に、映画音楽(2本やりました)やCD(数枚が同時進行で進んでいます)等の仕事で実はいっぱいいっぱいの日々でした。さすがに疲れた〜。

今回は最近聴いてるお勧めCDと、告知関係をいくつか、そうそう、NHK FMのライブビートで公開ライブを8月14日にやります。これ申し込みさえすれば無料です。他にも山梨の白州や広島で、誰でも参加できるワークショップをやります。休みを利用してぜひ参加ください。  詳細は下のほうにつけておきます。

CDの紹介

まずは秋にユニバーサルから発売になるフリー系のアルバムの復刻。これいいの沢山はいってますよ。この中のいくつかはCD初登場ですが、個人的にはデレクベイリーの『the music improvisation company』がお勧めです。70年にECMから出た作品で初CD化。これホントすごいですよ、背筋が凍りますよ〜。まじ、最初期のベイリーやパーカーはすごいや(脱帽)。

あとはここのとこよく聴いているのはギルエヴァンス・オーケストラ関連。ギルの『音楽的生涯』という本を読みながら聴くと、ますます面白いですよ〜。今聴くと、未整理なかんじのする70年代前半のエレクトリック初期が意外と面白かったりします。実は来年あたりから、少し大きめのバンドをやろうと思っていて、ギルエヴァンスは、そんな興味もあって、いろいろとさぐらせてもらってます。あ、そうそう、そのうち正式に募集しますが、このオーケストラみたいなもんを作るときに、木管、金管、弦楽器等を公募する予定です。興味あるかたは下の大友までメール下さい。

え〜と、それから、友人のキーボード奏者江藤直子さんから素敵なCDが送られてきました。DCPRGのドラマー藤井信夫さんと江藤さんのパートナーでギタリストの 大津真の3人によるユニット「Giulietta Machine」です。実は、だいぶ前にデモ録音の段階から聴いていて、しかも、そのデモCDはヘビーローテーションの愛聴盤でした。すごく良く出来た大人のイージーリスニングという感じです。宅録だけどハイファイ、独特の、遠近感あるミックスで、藤井さんのブラシの音とか、輪ゴムをビ〜ンと鳴らして作ったベース音とか絶品です。イーストワークスから出てるので、入手しやすいんじゃないかな。メンバー3人ともおよそCDを売ることとか宣伝とか苦手そうなんで、みんな 注目してあげてくださいね〜。

え〜と、もうひとりいた。宣伝活動とおよそ無縁な友人が。前にも紹介した大分のサックス奏者の山内桂さん。いわゆる音楽のシーンとはまったく無縁な場所で、サラリーマンをやりながら20年以上にわたって、誰にも似ていない独特の音楽を淡々と作ってきた48歳の即興演奏家山内さんが、突然仕事をやめたのが去年冬。すでに知る人ぞ知る的な音楽家であったとはいえ、なにぶん音楽の世界どころか都会そのものにも免疫のない人で、すごく心配でした。ところが、こちらの心配をよそに、彼は東京で何本かライブをやった後、なんのあてもないのに唐突に渡欧。挙句に、なんとベルギーでは私のステージに飛び入りし、満場の聴衆から大喝采を浴びる始末。この時、私はこの人がただの素朴でピュアな中年芸術家なんかじゃない事を確信しました。渓流釣りでもしてそうなのんきな外見にだまされてはいけません。この人はこれまでも、大分の地から世界の即興音楽に対して辛らつなまでの鋭い批評精神を持って勝負を挑みつづけていたんですから。新人であって、老練、自分の音楽と現実世界の距離を明確に見据えた確信犯ですよ、立派な。あれからわずか3ヶ月、今度は完全なサックスソロによる初のリーダーアルバムが送られてきた。帰国後、大分にもどってすぐに録音したに違いない。その勢いと、自信に満ちた演奏は、すがすがしくもある。即興音楽の語法のようなものが固定化し、こう すればいい演奏になる…というような基準のようなものがいくつも出来上がってしまった現状で、彼のやっていることがそうした即興スタンダードとは無縁のものであることも特記しておきたい。「山内桂/SALMO SAX」。いいアルバムなんだけど、どこで手にはいるのかな???? 多分じきにこのサイトで通販できることになると思います。

以下はライブやワークショップの告知です。

8月14日(木)東京、渋谷「NHK放送センタースタジオ505」
『NHK-FMライブビート公開収録』
会場 NHK渋谷放送センタースタジオ505
大友良英 the blue band :大友良英(g)、栗原正己(リコーダー)、江藤直子(key)、西村雄介(b)、芳垣安洋(ds, tp)、魚喃キリコ(perc) / Convex Level
入場は無料ですが、往復はがきにて応募が必要(応募締切:8月7日)
*観覧方法について詳しくはNHKライブビート ホームページをご覧ください。
観覧方法
必ず往復ハガキに、住所、氏名、電話番号、8/14 の大友良英 blueband 観覧希望と明記の上、番組の感想、今後出演して欲しいアーティストなどを書いて、〒150-8001 NHK-FM ライブビート 8/14 大友良英 blue band の係 までお送り下さい。
===注意事項====
・収録日の一週間前 必着(8/7)です。
・先着順ではありませんが、応募多数の場合、抽選になります。
・一人(の名前で)一通の応募に限らせて頂きます。複数お送りいただいた場合は無効にさせていただきます!
・収録そのものは午後7時からスタートの予定です。
問い合わせ NHK代表 03-3465-1111

ダンス白州 2003
『誰でも参加できるポータブル・オーケストラの試み / 野外編』
会場 山梨県北巨摩郡白州町大坊地区
8月15日:午後2〜4時
8月16日:午後2〜5時
8月17日:午後1〜4時
リーダー:大友良英
参加費:1日2,000円、3日間通し5,000円(定員なし)
持参品:たたくと余韻の出るもの、楽器以外の持続音の出るもの、楽器、電化製品、自分で工夫した音の出るものなど(詳細はお問い合わせください)。
問い合わせ:DeX_inc 有限会社デックス
(電話:03-5340-3860 / email:artcamp@sf7.so-net.ne.jp)
「昨年中野plan Bで行ったワークショップの野外編です。今回は白州のロケーションを利用して、様々な方法で音を聴くことを中心にしたワークショップから始めます。その後は、この〈聴く〉体験をもとに、徐々に環境に合わせて音を出しつつ、最終的にはポ ータブルオーケストラのアンサンブルを組むところまで行く予定です。楽器や音楽の経験がない方でも、ある方でも、どなたでも参加できます」

音と遊ぶ クリエイティヴ・ミュージック・フェスティバル '03
日程:2003年8月22日(金)〜24日(日)
若尾裕さん企画のフェスの中で、ワークショップ『誰でも参加できるポータブル・オーケストラの試み」をやります。中日の23日にはコンサートもあります。
会場:ふるさとセンター田総(たぶさ)(広島県甲奴郡総領町 Tel: 082488-2288)
定員:30名程度
参加費:27,000円。参加費には、宿泊費(2泊分)と食事代が含まれています。(22日の夕、23日の朝、昼、夕、24日の朝、昼の計6食)
詳細はホームページを。


Last updated: January 29, 2004